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帰ってきた後も夢ごこち

修学旅行や小さいころの旅行を抜かし、初めて 自分のなりの計画を自分で立てて行った国内旅行は、多分二十歳ごろに幼馴染と行った北海道旅行だと思う。その幼馴染も、去年の暮れに亡くなり、もう共通の思い出話をできる人がいなくなったということをしみじみ感じる。彼女にカメラを持ってきてもらったのだけど、結局彼女がフィルムを入れ忘れていて、その時の写真が、向こうで知り合った人に写してもらって、後で郵送してもらったもの以外は一枚もないのも、その時は悔しい思いをしたが、今となっては懐かしい。北海道旅行をなぜ計画したか、それはちょっと片思いだった甘酸っぱい思いが大元になっている。私が片思いをしていた大学の友人が北海道の旅行をして、北海道は良いぞ、それに利尻礼文の島の旅は良いぞ、と言ったのだ。計画を立てるのはほとんど私がやった。その頃は貧乏旅行が流行っていたし、実際学生の身でたくさんの費用をかけるのは憚られた。ほとんどユースホステルに泊まり、二週間の周遊券を使い、十二日間ぐらいの旅だったろうか。上野発の急行八甲田で、青森にはまだ暗いうちに着き、青函連絡船で函館に向かった。急行八甲田の中で知り合った姉弟に、帰りの函館でまた会ったのだが、その時、旅の縁の不思議さを感じたものだ。支笏湖、積丹半島、札幌、稚内と旅し、そこから船で礼文島に渡った。礼文島には、三日ほどいて、久種湖のほとりで長くキャンプをしていた男の人たちと知り合い、魚釣りや野イチゴ摘みをしたりして夢のような時間を過ごした。その後、網走、知床五湖、阿寒湖、襟裳岬も廻ったのだけど、少々色あせて見え、礼文島の思い出は強烈だった。帰ってきてからもしばらく夢に浮かされているようだった。一生、二度とあのような旅はできないのではないかという気がしている。

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